太陽誘電

計測ツールも揃い、いざ検査開始!
はたしてどの程度の不良が出るのか戦々恐々の日々

ドライブ調達、次の作業は

さて話を2008年初春に戻すとしよう。 DVD-R の再生不良が見つかって以来、苦い思いでお雑煮を噛み締めながら、DVD情報をネットで収集し、計測用ドライブと計測用ソフトの調達までは何とか進展した。ここで次に行うことは「選別の基準」を設けることである。

まずは基準値探しから

ネット上の、DVD計測・評価サイトでは、同じメディアを複数のドライブで計測する。データの公平性という点では重要な事なのだが、今の自分に必要なのは、手持ちの機器で正常に再生できる DVD がどれか。再生できない DVD を復旧できるかにある。そこで、この時点でエラーが発見されている 12 枚の DVD を、ゲーム機を含む 7機種で再生してみる事にした。

12 枚の再生不良メディアで、正常再生できた枚数が多い順に並べた結果は下表の通り。確認した機種が古いという点は置いておくとして、再生機器の発売時期が新しければ、再生確率が高いわけではない事が解る。

再生機器 発売時期再生枚数
PC(LITE-ON A4S1) 2007年8 枚
PC(Pioneer DVR111L)2007年6 枚
東芝 RD-XS30 2003年5 枚
Microsoft XBOX(旧) 2003年3 枚
Panasonic NV-VP50S 2003年3 枚
SONY PS2(50000番) 2003年3 枚
SONY PS2(70000番) 2005年1 枚

ここで、一番再現率の悪かった SONY PS2(70000番) で再生できた DVD-R メディアを計測してみると PI値は 80~100程度。再生できなかった DVD-R メディアはいずれも平均 PI 値 120 を超えているので、当方の再生環境では、PI値 が 80未満なら安全圏、 PI 値 100 を超えたメディアは焼き直しの対象として良いだろう。閾値は PI 値 100 辺りだろうか。

再度お断りしておくが、これはあくまで当方で使用しているメディアと再生機器の相性である。また当方の計測で PI 値 100 になったメディアが、他の方の計測環境で同じ数値になる保証はない。いくつかの計測サイトを見て回った所、PI 値 100 で問題なしと書いている所もあれば PI 値 20 を超えたら糞メディアと言い切っている方もいる。個人による評価のずれがある事自体、計測本来の目的である「統計による客観的データ」を逸脱している。この時点でサンプルにしたメディアも僅か 12 枚と少ないので「目安」程度に見ておいて欲しい。

いざ!計測本番!

ここまで来れば、あとは計測あるのみ。1 枚辺りの計測に要する時間は約 10 分、1日 10 時間 / 60 枚のペースでも、1,500枚を確認し終えるのに 1 ヶ月近くかかる・・・そう考えた時点で、急速に気力が萎えていく。しかし、ここで止めてしまっては元も子もない。

ここからは、投げ出したくなる気持ちをグッと堪え、ひたすら計測を行う日々が、延々約 40 日続く。飽きっぽい性格の私にしては、よく頑張った物だと思うが、この間の日記を書くのはは止めておこう。「人の不幸は蜜の味」と考えている方々に、わざわざご馳走を振る舞う気にもなれないし、単調な作業の繰り返しでは、これといった話題もない。

さて、この結果や如何に。

全 DVD-R の計測結果が出揃った
捨てる?焼き直す?買い直す?

悪戦苦闘の40日を乗り切り、やっと辿り着いたのは、悲惨な結果だけである。ある程度、予想はしていたが、こうやって現実を突きつけられたショックは隠しきれない。DVD-R とは、この程度の代物なのか。それとも特価品に弱い貧乏人の「安物買いの銭失い」だったのか。

DVD-R 生存率 結果発表

2年前のメモ書きによれば、この時点で手持ちの DVD-R は総数 1,588枚だった。同じ作業の繰り返しで、頭も麻痺状態にあり、計測し終えた DVD-R を再計測してしまったり、カウントし忘れたりの単純ミスも多かったように思うが、結果は次の通りである。(国内・海外を生存率順に掲載)

国内メディアID確認枚数生存枚数生存率
太陽誘電TYG02-0342041699 %
ソニーTYG02797797 %
三菱化学MCC403895 %
マクセルMXL28820270 %
その他の国内製品454191 %
国内合計87277488 %
海外メディアID確認枚数生存枚数生存率
SPIN-XCMC3030100%
PrincoPRINCO383181 %
ラディウスOPTODISC41021552 %
RIDATARITEK681928 %
メディアエンポリアムREADDATA14413 9 %
その他の海外製品26830 %
海外合計71631644 %

TYG02 TYG03 のようにメディアID別(種類・記録速度)に分類する余裕が無かったのが残念。

国産 VS 海外製

一見してお解りの通り、国内製造メディアの優秀さに比べ、海外製メディアの不良率が圧倒的に高い。これは後に解ったことだが、私が購入したメディア群は、海外製でも特に「地雷」扱いのメディアが多かったらしい。この結果だけで「海外製は粗悪品」と決めつけてはいけないが、こちらもそういう製品をわざわざ好んで購入しているわけではないので、この結果もある意味で「実情」である。

国産メディア【太陽誘電】

「Thats」シリーズの DVD-R を販売する太陽誘電は、CD-R 時代からリファレンスメディアとして利用されている老舗メディアメーカーである。自社ブランド製品の製造・販売だけでなく、国内メーカーの OEM製造も請け負っており、MAXELL や TDK などの一部メーカーを覗く国内メーカー品の多くは「太陽誘電 OEM」だ。パッケージに「国産」と表記された製品はほとんどが太陽誘電製だと思って間違いないだろう。

「高品質・高単価」の代表格だった太陽誘電製品も、数年に渡るシェア争いの影響で低価格化が進んだ。お陰でここ 4年ほど、メインメディアとして利用している。不良率も圧倒的に低いが、それは書き込んでからの年数が少ない事も理解しておいて頂きたい。

国産メディア【マクセル】

HDD/DVDレコーダーを購入し、手持ちの LD/VHD を DVD-R 化し始めたのが 2002年頃。当時からレコーダーとメディアの相性問題は多く、DVDレコーダー製造各社とも Panasonic 製 DVD-R メディア以外の互換性を一切保証していなかった。この時期の Panasonic 製 DVD-R メディアが 1枚 400~500円と高額だった事もあり、比較的評判が良く、半額程度で購入できるマクセル製を購入している。そのため、古い物だと書き込んでから既に 8年以上経過しているので、マクセルの不良率が高くなるのは致し方ない所である。よく 8年も持ったと見るか、8年しか保存できないと見るかの判断はお任せしておくとする。

マクセルのメディア不良が、なぜ今まで見つからなかったのかと言うと、先に書いたように、この時期は LD/VHD の DVD-R 化が中心だった事にある。当然 LD/VHD を購入するほどのお気に入り映画ばかりなので、廉価版の DVD が発売されると、性懲りもなく買い直している。不要になった DVD-R は捨てても良かったのだが、誰か欲しい人がいればあげるつもりで放置しておいたため、確認していなかった。

海外製メディア

安さにつられて購入したのが運の尽き。5年スパンで保存できるメディアは皆無と言えるほど悲惨な状況になってしまった。CMC製のように、非常に優れた結果が出たメディアもあるにはあるが、評価を判断できるほどの使用枚数ではない。意外だったのが Princo 製品だ。巷では「糞メディアの代名詞」になっているが、手持ちディスクの保存状態は良好だった。

太陽誘電 Thats 16倍速セラミックコート

MAXELL、TDK、三菱化学等の国内大手メディアメーカーが、相次いで国内生産を中止してしまい、高品質を旗印に国内生産に乗り出した「ユニフィーノ」も倒産する中で、2010年の現時点で国産メディアを供給する唯一の会社が「太陽誘電」である。他社の国内メーカー品で、原産国が日本と表記されている製品や、国内最高品質を謳う「森メディア」も太陽誘電 OEM になっている。

CD-R 時代からリファレンスメディアとして利用されている老舗メディアメーカーだけあり、品質の高さは折り紙付きなのだが、ここ数年に渡るシェア争いを背景に、低価格化と引き換えに品質が犠牲になっていると言う風評も多い。高品質メディアとして定番だった「 8 倍速メディア」を利用してきた方々から見れば、現在の主流である 16 倍速メディアへの不満はもっともだろう。下図が、高品質と評判の「8倍速プリンタブル(TYG02)」で平均的な計測値になる。

では、実際に品質が落ちているかと言われると微妙な所で、以下の計測グラフが 50 枚 1,500 円程度で大量に廉価販売された「16 倍速セラミックコート(TYG03)」の優良ロットメディアで、平均 PI 値 4~8というトップレベルのクオリティを維持している。

一方で、同時購入した別ロットの 16 倍速メディアは、平均 PI 値が 20 を超えてしまい、海外製の良品メディアクラスと変わらない結果だった。今まで確認した太陽誘電メディアでは、ワーストの部類になる。

現状では、Thats 8 倍速メディアの流通量は少なく、価格も高めで入手が難しくなっている。そのため、長期安定保存を考えた場合、個人が好むと好まざるとに関わらず「Thats 16 倍速メディア」が唯一の選択肢になるだろう。参考までに 16 倍速メディアを 等倍速・4倍速・8倍速・16倍速で焼いた場合のサンプル値を掲載しておくことにする。

等倍速焼きこみ

今時、等倍速 DVD レコーダーを利用している方も少ないと思うが、それ以上に、等倍速ドライブに対応する DVD-R メディアが無い事の方が、利用者にとっては問題かも知れない。そこで、等倍速レコーダーでこのメディアを使用した結果を用意していたのだが、画像ファイルを削除してしまったので、後日対応メディアが見つかった時点で再掲載する。予想以上に良好な結果だったので、古めのドライブ利用者にもお勧めできるかも知れない。

4倍速焼きこみ

8倍速焼きこみ

16倍速焼きこみ

定格 16 倍速の結果が良いように見えるが、ほぼ誤差の範囲程度と見て良い。Radus のようにピーキーな特性ではないので、ドライブを選ぶ事もなさそうだ。

メディア諸元

製品名称Thats 太陽誘電 16倍速セラミックコート
Media IDTYG03
録画機器Pioneer DVR111
録画日時2008/01/12
録画内容刑事コロンボ

計測日 2008/01/22