2010/02

2010年2月掲載

効率的に DVD-R を検査するなら
メディア計測用のドライブは必須になる

マニアはどうしているのか

世の中、どんなジャンルにでもマニアは存在するものだ。DVD-R を代表とする記録メディアにおいても例外ではなく、インターネットで「メディア 品質 比較」などでキーワード検索すれば、各種メディアの情報や品質を評価するサイトが数多くヒットする。 このようないわゆる品質評価サイトで行われているのが、PC用の計測ツールを使用したメディアチェックである。

評価サイト(当時はBBS)が CD全盛の時代からある事は知っていた。当時、メディアの品質検査が出来るドライブ自体が、比較的高額な Plexter製品だったので断念したのだが、大量の DVD-R メディアを効率よく確認するためには導入しないわけにはいかない。

計測用ドライブに求める物は

一口に「DVD-Rメディアの計測」と言っても、その目的はいくつか考えられる。一般的には、各社メディアの品質を徹底評価して、自分にとって最適なメディアを探す事。この場合なら、検査内容が豊富で、結果が厳しいドライブを選択するのが良いだろう。

一方で、検査結果の緩いドライブにも、別の利用価値がある。検査結果は相対的な物だと考えた場合、自分の再生環境で OK なメディアの評価グラフを基準点とすれば、結果の緩さは問題ない。また「結果が緩い」ドライブは、ディスクの記録状態が悪くても読み出しできる可能性が高く「データ救済用」のサルベージドライブとしても有効である。

データ救済ドライブとしての価値

今回、不良メディア大量発生の最優先課題は、不良メディアの効率的な選別だが、それと同時に、1枚でも多くのデータを救済することにある。そこで、読み取り不良メディアの救済を優先して、低価格で計測も出来るドライブを探した結果、USB外付けタイプの LITE-ON社製 A4S1 を選択した。

機種選定に際して、DVDドライブ・メディアの検証サイトとして有名な「しあにんなお昼ご飯」に掲載の「鬼読みドライブ選手権」が参考になった。インターネットは情報の宝庫。真偽の程はともかくとして、ドライブとメディアの相性や、メディア単体の計測情報は潤沢に見つかるが、ドライブの読み取り性能を比較する記事は非常に少ないので有り難い。

残念なのは、記事に掲載されているドライブ類が現在入手不可能な点だろうか。DVDドライブは半年単位でモデルチェンジが行われる上に、ここ最近は、Blu-rayドライブに移行しつつある。2009年初頭の時点ですら、ネット通販で探すのがやっとの状況だったので、現在では掲載されたほとんどのドライブが入手できない事だろう。

データ救済なら、古いドライブも有効

不良メディアのデータ救済目的に限って言えば、ちょっと古めの DVD読み取り専用ドライブ等も意外に有効である。特に DVDドライブ初期の、等倍速や4倍速程度の読み出し専用ドライブ等は、動作スピードの遅さや、読み込み制度の甘い事が幸いして、正常に救済できたりする。利用価値が無くなり、余ったドライブが手元に残ってるパソコン自作ユーザーの方は一度試してみると良いだろう。

メディア評価・検証サイトで利用されている
主立った計測用ツールをご紹介

メーカー毎に異なる計測ツール

DVD/Blu-ray メディアの計測用ソフトも何種類かあるが、ドライブメーカーや型番によっては利用できない場合があるので注意して頂きたい。計測用ソフトとして、一般的によく利用されている PlexTools、NERO CD/DVD Speed、Karr's CD/DVD media probe の3種類を簡単に紹介しておこう。

PlexTools

PlexTools は、ドライブ製造メーカーの PLEXTOR が自社製品に添付している計測ツールだ。豊富な計測機能と、ドライブ自体の品質で人気だが、他社と比較して製品単価が高めなので、計測だけを目的とした場合には購入しづらい面がある。PLEXTOR専用ツールという事で、他社製ドライブでは動作しない。また価格の安いバルクドライブ(パッケージの無いドライブ単体製品)には添付されていない。

PLEXTOR PlexTools Professional

Karr's CD/DVD media probe

KProbeの略称が通り名になっている計測ツール。主に LITE-ON社製ドライブを対象とした計測ツールだが、ドライブが対応していさえすれば無料で利用できるので、計測サイトでよく利用されている。

KProbe ダウンロードサイト(英語)

NERO CD/DVD Speed

対応ドライブの多さと機能の豊富さに加え、無料で利用できる事から、計測サイトでもっとも利用されている定番計測ツールだが、現在は Opti Drive Control という名称で、有料になってしまった。各計測サイトでは、未だに従来の NERO 版が利用されている。

Opti Drive Control 公式サイト

計測ツールの注意点

ツールによって計測できる項目数や、グラフの形状、その値の意味が若干異なる。例えば A社製ツールで「エラー100」の場合、B 社製ツールでは「エラー50」というケースがある。またツールのバージョン違いでも若干の差異が出るので、あまり計測結果に神経質になってはいけない。正常に再生できる DVD-R メディアの結果がどの程度で、許容できる閾値がどのくらいなのかという「自分基準」を設定し、俯瞰で捕らえるのが良いのでは無いだろうか。

計測結果のグラフをどう見る
PI/PIE/PO・・・その意味は

評価基準ソフトを NERO CD/DVD Speed に

DVD-R のデータ破損が発覚した 2008年正月の時点で、数種類の計測ソフトを試した結果、複数の計測テストが同時に行えて、計測時間も比較的短かった「NERO CD/DVD Speed」をメイン計測ツールと決める事にした。

前ページで説明した通り、現在このバージョンはすでに無く、有料ソフトの Opti Drive Control に切り替わってしまっている。本来ならば新版の Opti Drive Control を使用するか、別のソフトに切り替えるべきなのだろう。しかし、初回計測時のデータを基準に、継続的な推移を見守るためには、計測ツールを変更するわけにも行かないので、この点はご了承頂くしかない。

ここで「NERO CD/DVD Speed」から得られる計測グラフの見方と、各値の意味を簡単に説明しておくことにしよう。

NERO CD/DVD Speed の計測画面

下の画面が、NERO CD/DVD Speed の実行画面になる。グラフ上部に「ベンチマーク」「ディスク情報」「ディスク品質」「スキャンディスク」と 4つのタブが並んでいるが、この内でメインに利用するのが「ディスク品質」タブになる。

上下2種類のグラフ右側に「メディア諸元」が表示されているが、ここで重要なのが「ID」項目だ。DVDメディアには、製造メーカー毎に決められた ID が書き込まれている。上記の例だと ID が TYG03 となっているので、太陽誘電製の16倍速メディアだと解る。TYG02 ならば同じく 太陽誘電製の8倍速メディア。MXL ならマクセル製、三菱であれば MCC のように、メーカーの略称+記録速度が ID である。

もう1点、画面右下に表示されている「品質スコア」が、このメディアの計測結果に基づく採点になる。これが 90点以上だとかなり優秀、95点以上なら超優良と言って良いが、ドライブとメディアの相性や計測誤差で結果が大幅に変わるため、あまり当てにはならない。あくまで目安程度に考えておいた方がよいだろう。また、当サイトの画面幅に合わせて縮小した関係上、文字が少々見づらくなってしまっているので、これ以降は、グラフ部分だけを切り出して掲載する事にした。

さて、まず上のグラフだが、これは DVDのデータを読み込んだ直後の状態を示していて、水色でギザギザに並んだ山が「データ誤差」だ。この話をすると、よく「エラーでしょ」と言われるのだが、厳密に「エラー」とは言い難い。

DVDという規格は元々、このような誤差(エラー)が発生する事を想定してあり、それを修正するための ECC(Error Collection Code)というエラー補正構造が備わっている。例えば、プレス成形で製造される、映画を収録した市販の DVDディスクに、DVD-R のような誤差は無いと思われがちだが、実際に計測してみると、この例以上に誤差が検出される。むしろ誤差のない DVD は存在しないと見て間違いないだろう。

PI(Parity Inner)と呼ばれる、この水色の山が、低ければ低いほど品質が高い。グラフの目盛りは左側に並ぶ数字が示していて、一般的な優良ディスクなら、これが 6~20の範囲内に収まっている。DVDの規格書によると、PI値 250 がデッドラインとして示されているが、これは甘すぎるように思う。今回、手元にある DVD再生機 5台で、不良メディアの再生確認を行ったのだが、5機種すべてで再生できる PI値の上限は 80~100 程度であり、150を超えた辺りでは、いずれの機種でも再生不可能か、再生停止、良くてもブロックノイズの嵐になっている。比較的計測結果が甘いと言われる「LITE-ON製ドライブ」の特性を考慮しても PI 250 はあり得ない数値のように感じる。

グラフ左方向が DVDの内周側で、右方向が外周側。内周から外周まで、グラフの高さが一定している事も、優良ディスクの必須条件になる。

グラフ右側に並ぶ 2~16までの縦軸は、ドライブ速度を表示していて、グラフ中心辺りに、左から右へと右肩上がりラインの事である。これ自体は品質に直結しないので、あまり気にする必要はない。

それでは、下のグラフに目を移してみよう。こちらは、ECC によるエラー補正を行った後のグラフになっている。緑色部分が PIE (Parity Inner Error) を補正出来た数で、黄色部分が補正できなかったエラー箇所 PIF (Parity Inner Falure) になる。先ほどの PI グラフと同様、この数値も単純に低いほど優秀だと見れば良い。一般的な DVDディスクで、この値は 1~4 程度。これもすべてが 0 になる事はまずあり得ない。赤いグラフで 8 以上の数値が出るようだとかなり危険である。

PIF が検出されたブロックは、その後 ECC による二次補正が行われる。これでも補正できなかったブロックが PO (Parity Outer) と呼ばれる「完全不良ブロック」で、再生はほぼ不可能になる。画面右下にある「 PO 修復不可能」の数値がそれである。