2010/04

2010年4月掲載

同じ轍を踏むな!
後悔しない為の DVD-R 作成お約束条項

DVD メディアは、品質のバラつきが非常に激しい商品である。同じメーカーの同型番製品ですら、製造ロットによる出来不出来が頻繁に生じている。新製品になったからといって品質が向上したという保証は無い。いやむしろ、最近の傾向として、新製品ほど品質が低下している。国内メーカーブランドで発売されているメディアのほとんどが、台湾メーカーのOEM生産に切り替わってしまい、ブランドだけで良し悪しを判断する事も出来ない。

メディアの価格にしても幅が広い。DVD-R を例に挙げると、海外製で 1 枚あたり 15 円を切る激安品から、国産だと 1 枚 500 円以上の高級品?まで、実に 30 倍以上の開きがある。それでは一体、何を基準に選べばよいのだろうか?

その1:海外製メディアは使うな

書き込み品質の保持や、経年劣化を抑えたいのなら「国産品」を選ぶ事。なにも海外製品のすべてが悪いと言うつもりはないが、先の不良ディスク検証でお解かりの通り、国産品と海外品では、歴然とした品質格差がある。安さに釣られ海外製メディアを購入したものの、後々不良にでもなれば、結果的に高い物になってしまう。

但し、ここで言う「国産品」とは「国内メーカー品」ではない点に注意して頂きたい。一時は高品質の代名詞のように扱われていた「マクセル」も、現在は国内生産を止めて、すべて海外生産に切り替わってしまった。海外メディアと比較するなら、かなり優秀な部類になるのだが、品質の低下は甚だしく、とても国産レベルと呼べる代物ではない。

「国産品」の見分け方は単純で、パッケージの「原産国」が「日本」と表記されている製品を選べば良い。具体的には「That's ブランド」の太陽誘電製品か、国内メーカーの「原産国表記が日本」の製品となるが、後者もほとんどが太陽誘電の OEM 製品なので、実質的には「太陽誘電製品」一択となる。

余談になるが、秋葉原店頭や、メディア通販などで「業務用メディア」と称する製品が出回っているが、間違っても「業務用=高品質」などと考えてはいけない。「業務用」とは、パッケージングや印刷などの手間を押さえた量販用の低価格品であり、一般的に品質は良くない。「業務用」の中には、パッケージを偽装しただけの「模造品」もあるので注意しよう。

その2:二層メディアは使うな

連続ドラマや TV アニメなどで放送回数が少ない(1~2クール)番組だと、録画時の圧縮率を高めて、DVD 1枚に収めたい場合がある。このような場合に利用するのが、片面二層で 9GB 超の容量を持つ DVD-R(+R) DL メディアだ。今回の検証内容には含まれていないのだが、この片面二層メディアも要注意である。

片面二層メディアは、通常 DVD-R 同様の一層目と、その下層に二層目を記録する方式になっている。この構造上の理由から、一層目から二層目に切り替わる際に、再生が一時停止してしまったり、二層目に入るとブロックノイズが多発したりと、どのメーカーの製品も二層目の品質が良くない。これまで私が購入した片面二層メディアは 20 枚程度なのだが、現在まで、まともに残っている片面二層メディアはない。

どうしても片面二層メディアを使用して、より多くの動画を保存したいのであれば、DVD-R DL を使うのではなく、潔く Blu-ray 録画に切り替えるのが賢明だろう。

その3:録画ドライブ・再生機との相性を確認しろ

DVD ドライブは、メディアに書き込みを行う際、メディア固有の ID を、ドライブ内の情報と照合し、レーザー強度をコントロールする仕組みになっている。メディアに対応する情報が無い場合は、一般的な設定強度で書き込みを行う事になる。そのため、古いドライブで、新製品のメディアを使用すると、最適な結果が得られない場合もあり得るわけだ。

これを相性と言うのは間違いだが、使用するドライブによって、メディアの書き込み品質評価が違ってくる。友人のドライブではエラーばかり発生するメディアが、自分のドライブでは何の問題もなく良好な事もある。メディアを購入する際は、まず少量購入し、自身の環境でテストして判断するくらいの慎重さが欲しい。

その4:最外周まで書き込むな

DVD メディアの記録層は「スピンコート」と呼ばれる方式で生産されている。メディアのベースとなるポリカーボネイト円盤の上に、一定量の色素材を垂れ流し、ディスクを回転させた遠心力で、周囲まで均一に塗布する。その結果、ディスク内周部は厚めの記録層が、外周部は薄めの記録層が出来上がってしまう。録画の後半部に当たる「ディスク外周部」でエラーが多くなる理由はここにある。

これは DVD の構造的な問題なので、たとえ国産品でもディスク最外周まで記録するのは好ましくない。4.7GB の容量をフルに使い切らず 4.3GB 辺りに抑えておくのが良い。外周部の弱さが顕著な海外産であれば 4GB を超えて使用するのは避けるべきだろう。

その5:定期チェックを忘れるな

せっかく作った録画ライブラリなのだから、なるべく長期間保存しておきたいのは人情。出来る事なら、黒ケースや、黒画用紙のスレーブを挿入し、外光を極力遮断する。湿度・温度変化が少なく、日差しの射さない場所で保存するのが無難だろう。取り扱い時にもディスク記録面に指紋や傷をつけないように注意する。まるで腫れ物に触るかのようだが、現在のように高密度化した記録メディアでは致し方の無いところだ。

そこまで気を配っていても、いつかは消えてしまうのが「記録メディア全般」の宿命である。少々面倒ではあるが、購入したメディアのロット毎に1枚、録画したタイトルを控えておいて、不定期にチェックする事をお勧めしておきたい。確認する頻度は年に1度程度で十分なので、正月やゴールデンウィークの暇つぶしにでもしては如何だろうか。

落胆させるようで申し訳ないが、経験則で言うと、国産メディアで 10 年、海外産メディアで 5 年、二層メディアで 5 年程度が保存寿命ではないかと考えている。10 年というスパンは長いようで意外に短いものである。

その6:パソコン雑誌を信じるな

DVD-R はレコーダーやドライブに対応した記録速度があるのはご存知だと思う。メディアのパッケージに[ 1X-16X ]と書かれていれば、そのメディアは等倍速から 16 倍速の書き込み速度に対応するという意味だ。

書き込みを行うドライブ側にも同じようなスペック表記があり、[ DVD-R Read 24/ Write 20 ]となっていれば、最大読み込み速度が 24 倍速、最大書き込み速度が 20 倍速である。実際には 20 倍速対応のメディアは市販されていないので、これはドライブメーカー独自のオーバードライブ仕様になる。

さて実際問題として、このオーバースペックは有効なのだろうか。結論から言ってしまうと「メディアの規定速度以上で記録した場合の品質は良くない」と断言できる。過去に何機種かのドライブと数種類のメディアで検証した結果を、後述の個別メディアの解説に掲載してあるが、規定速度と同程度の品質で焼き上がった物はない。

逆に、低速で焼いた場合はどうかと言うと、16 倍速メディアを 8 倍速で焼き込んだ場合、16 倍速と同等もしくは、16 倍速より良好な結果が出ているケースも多い。但し、4 倍速以下まで落とした場合は悪くなるようである。現在、店頭で入手できる DVD-R は、ほとんどが16倍速物になっている現状を考えた場合、定格通り 16倍速で焼き込むか、8 倍速に落として焼くのが正解だ。

ちなみに、焼き込み速度と焼き込み時間の関係は次のようになる。不思議に思うかも知れないが、16 倍速は 8 倍速の半分にはならない。どういう事かと言うと、8 倍速以上で記録する場合、内周部と外周部で記録スピードを変える「記録方式の違い」による物である。
   4倍速 15分
   8倍速 8分30秒
  16倍速 6分
  20倍速 5分

ドライブを購入する場合、より早い速度の製品を選ぶ。記録メディアも同様で、同じ価格で 8 倍速製品と 16 倍速製品が並んでいれば、一般的には後者を選ぶ傾向にある。 これに便乗するのがパソコン雑誌である。ドライブの新製品紹介記事では「XX倍速で焼けた」「XX倍速だとXX分の時間短縮」など、無責任きわまりない内容が並ぶ。まあドライブ紹介など、これと言った特徴がないだけに、スピード競争で読者の目を引こうとする気持ちも解らないわけではないのだが、無知を曝け出しているようなものだ。

PC 用 DVD ドライブを使っている方ならお解りの通り、16 倍速を超えるドライブなど、あまりの爆音で実用性は皆無である。この点はメーカー側でも解っており、わざわざ、ドライブの回転数を落とすためのドライバを同梱しているのだから、本末転倒と言うしかない。批判めいた文書はこの辺にしておくが、このページを読まれた方は、目先のスペックに踊らされず、製品選びをして頂きたい物である。