2010/06

2010年6月掲載

パソコン選びのその前に
確認しておきたい基本事項

パソコン選びを始める前に、まず、パソコンを使用する上でのお約束事項を確認しておくとしよう。いずれもごく基本的な内容なので、ある程度、パソコンの利用経験がある方は読み飛ばして構わない内容である。

一方、パソコンを初めて購入する方はこの逆で、内容が理解できない可能性もある。パソコン初心者の方は、購入後に再度ご確認頂くと良いかも知れない。当サイトをご覧になっている時点で、パソコン未経験では無いはずなのだが。

ソフト導入

何はなくとも「セキュリティ対策ソフト」の導入は必須。OS 本体のサービスパックや、セキュリティ更新と共に、最新の状態にアップデートするのを忘れてはいけない。

ここから先は、各個人の趣味・嗜好に合わせてアプリケーションソフトを導入する事になるが、パソコンを安定的に利用したいのならば、これ以外のソフトは、極力少ない方がよい。これは周辺機器などを動作させるドライバソフトや付属のユーティリティソフトにも共通する。詳細は、別コラム「ソフト選択、その前に」をご覧頂きたい。

パソコン清掃

取引先からの緊急呼び出しで、パソコンの保守に伺った際に、真っ先に行うのが「 CD/DVD ドライブ清掃」と「ウイルスチェック」である。「ウイルスチェック」を行う理由は説明するまでもないと思うが、「ドライブ清掃」も重要なポイントで、これを怠ると手痛いしっぺ返しを喰らうことがある。

従来、パソコンの故障は、ネットワークがらみのトラブルと、ウイルス関連が中心だったが、ここ最近は、メイン基盤やハードディスク等の物理的な障害が多くなっている。これが 10 年近く使用してきた古いパソコンなら、老朽化だと諦めも付くのだが、購入から2年も経たない比較的新しい製品が、ロートルパソコンと同じような確率で壊れるのだから、いかに品質が低下しているのかを物語っているような物である。

こういう場合の復旧作業に必要なのが、CD/DVD ドライブだ。最近の機種はほとんど USB コネクタが付属しているので、大抵の場合、保守用の USB メモリや USB ドライブで用が足りるのだが、OS の再インストールとなると、光学式ドライブが欠かせない。悪いことに、そういう時に限ってドライブが読み取れないから泣けてくる。

担当者曰く「普段、使ってないんだから大丈夫なはず」だそうだが、経験則で言わせていただくと、ある程度日常使用していたほうが、ゴミや埃が付着せずに長持ちする物なのだ。普段は、DVD 鑑賞程度にしか利用されない光学ドライブだが、使用・未使用に関わらず2ヶ月に1度くらいは清掃しておいて頂きたい。

バックアップ

説明の必要はないと思うが、不慮の障害に備えて、日頃からデータのバックアップを心がけてほしい。これはパソコンを使用する上で「最低限の自己防衛」である。 バックアップの取り方には様々な方法があり、ここでは語り尽くせない。詳細は、別コラムに譲るとして、最低でも2カ所(2方法)に取るのが望ましい。

また、バックアップの対象は個人が作成したデータだけに止まらない。何かのトラブルに備え、システム全体のバックアップも欲しいところだ。 意外と忘れがちなのが、ソフトの設定情報や、日本語 FEP のユーザー辞書、インターネットのお気に入り情報などである。

内蔵電池

「パソコンが突然起動しなくなった」「起動しても日時が狂っている」「起動すると毎回 BIOS 画面が出てくる」という症状は、単純にパソコンの内部電池が消耗しただけの場合が多い。

通常は AC 電源で動くパソコンも、時刻設定やパソコンの基本情報は、本体内部に取り付けられたボタン電池で保持されている。当然の事ながら電池の寿命が来れば、時刻設定は初期化されてしまう。パソコンの基本情報も同様に記録されているため、最悪の場合、ハードディスクや周辺機器が認識されなくなる。日々の保守は無理としても、このような症状が発生した場合、内部のボタン電池を交換してみると良いだろう。パソコンメーカーへの修理依頼もこのケースが多いようだ。

バッテリ寿命

電池に関連してもうひとつ。充電式のバッテリには使用限度回数があるという事も忘れているようだ。ノートパソコンが好例だと思うが、バッテリを取り付けたまま AC 電源で使用していると、電源を切断する都度、再充電が行われるため、たとえば1日に4回電源を ON/OFF しただけで半年程度で充電効果が無くなってしまう計算になる。

ニッカド型バッテリで 200 回程度、リチウムイオンバッテリでも 400 回程度の再充電が限度と言われている。これは残っているバッテリ容量に関係なく、充電した回数でほぼ決まる。またバッテリを使い切らずに再充電を行うと「メモリ効果」が起こり、使い切る事ができなくなってしまい、バッテリの寿命が短くなる。リチウムイオンバッテリにはメモリ効果が発生しないと言われてきたが、ここ最近はリチウムイオンでもメモリ効果が現れる事が報告されている。

携帯電話から、ノートパソコン、デジカメ、音楽プレーヤー、ビデオカメラ、家電品、玩具など、充電式の製品はいずれも同程度だと考えて良い。

「無料パソコン」って嘘、本当?

以前にニュースや新聞で報道されたせいか、今でも「無料パソコンはどこで入手できるのか」という質問を受ける事がある。外資系のサービス系会社を中心に、様々な方法で提供していたのは事実だが、そのほとんどが廃業・業務提携などで、残念ながら最近これらの話を聞く事はなくなった。事実上、無料パソコンはなくなったと考えて間違いない。

どんな仕組みで無料だったのか

ただ無料で配っては商売として成立しない。そのため、情報収集や付加サービスとセットで提供する方法を採っていた。リサーチ系の会社では、一定期間毎にアンケートに回答するよう義務付けられる。パソコンを無料配布する代わりに、市場調査を行う仕組みである。

広告代理店系の会社が提供した無料パソコンでは、パソコン本体に専用のソフトを導入したケースがある。パソコンを起動すると同時に、広告用のポップアップウィンドウが表示され、たえず広告が表示される「広告一体型パソコン」だった。 また、これ以外の例として、パソコン本体を無料で提供する代わりに、独自の保守契約を行う方式もある。こうなると「無料パソコン」の名を借りた、単なる「リース契約」である。

これらの「無料パソコン」をキーワードとした「広告モデル」が発生しては消滅して行った中で、唯一生き残ったパソコン広告モデルが、業者指定の通信プロバイダ加入を義務付けた「パソコン通信セット」だろう。現在盛んに行われている「100円パソコン」の先鞭とも言えるが、パソコン本体の価格が高かった時代でもあり、ビジネスモデルとしては成功しなかったようである。

広告モデルの限界点

前述のように「広告モデル」で大々的に成功した例は少ない。パソコンの範疇を超えて考えてみても、システムとして確立しているのはせいぜい「テレビ・新聞」に代表されるマスメディアくらいな物ではないだろうか。

それでは携帯電話キャリア各社が行っている「1円携帯」はどうなのか。ここ 10 年あまりで急激に普及した携帯電話も、世帯普及率が 94 %を超えた 2003年を境に高止まりを続けている。大手携帯キャリア同士の熾烈なシェア獲得競争は、「利用料金の値下げ」、「販売奨励金」や「端末開発費」の負担増を背景に、大幅縮小になっているのはご存じの通りだ。

「新機種が無料で手に入る新規ユーザーと、同じ機種を継続して利用する既存ユーザーが同じ料金を払うのは不公平」との指摘を受け、携帯キャリア各社に政府通達が発せられたが、これに対する、自主規制が行われなかったとしても、この傾向は変わらなかっただろう。

そこで、携帯キャリアが「2匹目のドジョウ」として注目したのが「モバイル通信」である。携帯電話市場で苦境に立つ「イーモバイル」が、移動体通信主体にシフトしたのを皮切りに、携帯キャリア各社が一斉に名乗りを上げる事になる。折しも、小型で低価格な「ネットブック」の爆発的ヒットと時期が重なり、ここに「 100 円パソコン」の登場となった。

携帯ショップでも見かける「100 円 PC」
そのメリット・デメリットは

街中の電気店や携帯ショップでも見かけることの多い 100 円パソコンは、モバイル通信への長期加入が条件の「セット販売パソコン」である。

賢明な方ならお察しの通り、パソコン単体購入よりも、当然、トータルの支出は高くなる。それでは全くメリットが無いのかと言われれば、そうとも限らない。

主要キャリアの割引率

携帯電話でお馴染みになった「販売奨励金」は、携帯電話の新規加入に対し、携帯キャリアが、販売店に対して提供する「リベート」のようなもので「インセンティブ」と呼ばれることもある。

「リベート」と書くと悪いイメージしか持たれないが、よくある「値引き販売」の一種と考えればよい。本題となる「100 円 PC」も同様で、モバイル通信加入の奨励金を、パソコン本体の値引きに充当しているわけだ。

奨励金は、キャリア、店舗の販売実績、販売時期等によっても異なるが、概ね 30,000 円程度だろうか。これにプラス、利用者が契約後に支払う月額利用料から、セールス業者に割り戻される金額を合算して、トータル 40,000 円辺りが最大値引き幅と見られる。

パソコン本体の仕入れ差額を計算に含めた場合、必然的に 100 円パソコンの対象機種は、実売価格で 40,000~50,000円のネットブックになってくる。店舗によっては購入機種を特定せず、どの機種を購入しても一律 XX 万円引きという販売を行っている事も多いので、使い方次第では利用価値も高い。

実際の費用はどれくらい

それでは、実際にかかる費用はどれくらいなのかを、現在、100円パソコン主流の「イーモバイル」で見てみよう。販売店によっては「契約料金」として 3,000~4,000円の別料金を取る場合があるので、契約前に確認して欲しい。

100 円パソコンの対象機種で、実売価格が最も高い(得な)のは、東芝や富士通等の国内メーカーが発売する「最新の低価格ネットブック」になる。本体の実売価格で 58,000~62,000円。「イーモバイル+にねんMAX」とのセット契約だ。

コースタイトル通り、2年間の契約縛りで、月額基本料金 2,800円のスーパーライトは、ネット接続料金が別料金。接続し放題の「データプラン」が、月額 6,480円の固定料金になっている。ここで、年間でのトータル料金を、単体購入・クレジット分割払い・途中解約を含めて纏めると

パソコン本体を現金で単体購入58,000円
58,000円を年率 15%で 元利均等2年払い67,500円
スーパーライトでデータ通信未使用 2,900円×24ヶ月69,600円
にねんMAXで当月に解約 69,600円+当月利用料 2,900円72,500円
にねんMAXで1年後に解約 37,700円+2,900円×12ヶ月72,500円

いずれの場合でも、パソコン単体を現金購入したケースより1万円ほど高くなるが、分割払いとの差額は僅かだ。たまにモバイル通信をするだけと割り切れば、それ程、損な買い方でもない。

それでは、ネット通信をフルに使用するとどうなのか。

スーパーライトでデータ通信最大利用 6,880円×24ヶ月165,120円
データプラン使い放題 6,480円×24ヶ月155,520円

スーパーライトの基本料金だけで利用できるパケット数(ダウンロード量)は非常に小さい。文書だけの電子メール受信でも十数件程度、インターネット閲覧なら、4~5ページ、画像を含む広告が掲載されたページだと、1ページ表示しただけでも使い切ってしまうので注意して頂きたい。

モバイル通信を使うのが前提ならば、どの道、いずれかの通信キャリアと契約が必要になるので、そのような方から見れば「無料パソコン」と言って間違いない。

今後の推移

100 円パソコン戦略では「イーモバイル」が先行したが、2010年にソフトバンクが本格参戦し、今後は値引き合戦に展開する様相を見せている。今すぐにモバイル通信が必要で無いのなら、少し静観しておくのも良い選択である。

現時点では、携帯電話とモバイル通信を、同じ携帯キャリアとした場合の「割引」はあまりない。今後のキャリア間競争で、このような「携帯電話とのセット割引」が出てくる事は容易に想像が付くので、それを待ってみるのも一案だろう。

MS-Windows、Mac OS-X、Linux、FreeBSD
「OS」の種類も様々だが、そもそも「OS」って何なの?

パソコンを動作させるために必須のソフトが「OS」
オペレーティングシステムを略して「OS」と呼ぶが、これはパソコン本体の下層に位置するソフトウェアである。ちなみに「BIOS(バイオス)」は、その下に位置する「ハードウェアを制御するための基本ソフト」である。

「OS」とは

冒頭から、なにやら肩苦しい説明に聞こえるが、これ単体では特別な役目をしないソフトだと言いかえる事も出来る。

たとえば皆さんご存知の Microsoft EXCEL を例に挙げよう。EXCEL は表計算を行うためのソフトだという事は誰もが知っている。ユーザーから見た場合「表計算」という重要な機能があるわけだが、同じように Windows にはどんな機能があるのかと言われても答えようが無い。(答えるのが面倒)

Windows 単体には、ユーザーにとって特別な機能はなく、EXCEL を動作させるための土台としての役割となる。そのため Windows のような OS をプラットホームと呼ぶ場合がある。MS-Windows は Windows ソフトを実行するためのベース。EXCEL は Windows 上で動作するように作られた専用アプリケーション(ソフト)である。

Linux(リナックス)や Mac OS-X 等も MS-Windows と同じような役目をするプラットホームなのだと理解してもらえばよいだろう。

「OS」の種類

OS 自体の歴史は古く、1950年代に遡ることになる。商用ベースで初登場した OS は 60年代の IBM OS/360 辺りだろうが、現在のパソコンレベルでは 70年代の CP/M が元祖だろう。こういったウンチク語りに興味のある方は、ネットで検索していただくとして、現在のパソコンで利用されている OS は基本的に MS-Windows、MacOS、Linux の3種類になる。

「OS」の得手不得手

各 OS を選ぶ上でのポイントを、次ページから掲載していくが、ざっと三者の違いを表すと下図のようになる。

WindowsMac OSLinux
設定の容易さ
周辺機器の対応
一般ソフトの豊富さ×
業務ソフトの豊富さ×
フリーソフトの豊富さ
過去ソフトの互換性×
動画の再生×
サーバーとしての利用×

表中では「○△×」と明確に差をつけているが、実際にはそれ程大きな差ではないので、優先順位程度に見てもらおう。 特に、パソコン利用の主目的である「インターネットサーフィン・電子メール」程度で OS の違いを意識することはまずあり得ないので安心して欲しい。

現在は OS による違いはほとんど無いと見て、パソコン本体を選ぶ際も、予算や性能、デザイン・カラー・ブランドなど、個人の好みで自由に選んで構わない。

ソフトの互換性

「どれでもお好きに」とは書いたが、だからと言って Linux 用のソフトが MS-Windows 上でも動作すると言うことはないので、その点を勘違いしてはいけない。MS-Windows 用ソフトは MS-Windows 上でしか動作しないし、Mac 用ソフトなら Mac PC でしか使用できない。 もしあなたが、特定のソフトを使うのが目的であれば、ソフトの対応機種から選択することになる。

一応断っておくと、MS-Windows 上で Linux 系のソフトを動かすための Cygwin や、Mac OS から MS-Windows を仮想起動するシステム等もあるが、これはあくまで補助的な物だと考えて欲しい。

好き嫌いは別にして
パソコンのスタンダード OS に間違いない

Windows95 の大ヒット以来、Win98、XP、Vista と着実な進化を遂げる、Microsoft Windows。2009年末に発売された Windows 7 も好調だ。

デファクトスタンダード

今更説明の必要もないだろう。現在使用されているパソコンの8割が MS-Windows 搭載機とも言われる「パソコンのスタンダード OS」である。当サイトに掲載した記事も、この「Microsoft Windows (MS-Windows」がベースになっている。

一口に MS-Windows と言っても数々のバージョンが存在するが、一番人気を誇った Windows XP が生産終了となった今、今後、パソコンを購入される方は、必然的に MS-Windows 7 一択になる。サーバー系の MS-Windows 20XX 系は、この際除外しておくとする。

MS-Windows 選びの注意点

MS-Windows 搭載パソコンを選ぶ際は、MS-Windows のバリエーション(エディジョン)に注意しておきたい。 最新版 MS-Windows 7 の場合だと Starter、Home Premium、Professional、Ultimate の 4 種類のエディジョンがある。

Starter が最下位版で Ultimate が最上位版。上位版になるほど付属するソフト類が増え、製品価格も高くなるが、基本性能の差は少ない。

個人で使用する場合や、パソコン本体にバンドル(付属)されているのは、大体が Home Premium になる。一部の低価格ネットブックに Starter というエディジョンが使用されているのだが、これは、同時に実行できるソフトの数に制限があるので、出来ることなら避けたい。多少の金額差で Home Premium が入手出来るのであれば、そちらを選択するべきだろう。ちなみに Starter はネットブック向けの OEM 専用なので、市販はされていない。

会社内で使用するパソコンで、社内に設置されたサーバーとドメイン接続する必要があれば、Professional 版以上が必要になる。ドメイン接続の意味が解らないようであれば、おそらく必要はないはずだ。

32bit 版と 64bit 版の違い

MS-Windows 7 の上位版には 32bit 版と、64bit 版が存在する。 パソコンの心臓部とも言える「CPU」はご存じだと思うが、64bit 版 CPU 専用に設計された MS-Windows が用意されているという事。

最近のパソコンはほとんどが 64bit CPU を搭載しているのだから、OS も 64bit 版が良いと思うだろうが、事はそう単純ではない。それでは bit 数が多いと何が違うのだろう。利用者にはどんなメリットがあるのだろうか。

一般的には、同時に実行できる命令が倍になるので、ソフトの動作も速くなる。但し、単純に倍になる訳ではなく、ほとんど変わらないケースもある。これはプログラムの作り方にも依存する事なので、ここでは説明を省略させてもらおう。 ひとつ確かな事は、64bit MS-Windows 上で、32bit 版のソフトを動かしても早くなるケースはほとんど無いという点だ。64bit の恩恵を受けられるのは、64bit 専用ソフトを使用した場合だけである。

現在市場に出回っているソフトはほとんど 32bit 版であり、64bit 製品は数えるほどしか存在しない。数年のスパンで見れば、64bit への移行は必然なのだが、現時点でのメリットは少ないと思って欲しい。

最大メモリ量が大きい 64bit 版

唯一、現時点での最大メリットと言えるのは、パソコンの「メモリ搭載量」だろう。32bit 版の場合、パソコン本体に大容量のメモリを搭載しても、MS-Windows 側で認識できるのは 3.4GB 程度に制限されてしまう。64bit 版ではこの制限が緩和(エディジョン別の上限はある)されているので、より大容量のメモリが使用できる。最近のソフトはどれもメモリを大量に消費するので、この点だけでもメリットにはなるだろう。

現在出回っている多くのソフトは、64bit 版上でも動作する。しかしハードウェアに依存するソフトの場合は難しい。手持ちのハード・ソフトで確認した範囲では、デフラグソフト・パーティション操作ソフト・一部のフリーソフト・イメージスキャナのドライバが 64bit 版で動作しなかった。これも今後のバージョンアップで解消されるとは思うが、実用優先ならば 32bit 版を選ぶのがよい。

MS-Windows の利用価値

市販のアプリケーションソフトを中心に考えた場合、MS-Windows 系パソコンを選んでおけば、まず間違いない。ある特定ジャンルのソフトで、Mac 用が 2 製品あったとすれば、MS-Windows 用なら 10製品くらい見つけることが出来るだろう。ソフトは質で数ではないが、数が揃っていなければ選びようもないのも事実である。

少し前までは、Mac オンリーのデザイン系・音楽系ソフトも多く、それが Mac の優位性でもあった。しかし、現在はほとんどの製品で MS-Windows 版がリリースされているので、この点でも Mac のアドバンテージは少ないだろう。

インターネット上の動画再生も、やはりユーザー数の多い MS-Windows に分がある。問題が発生した時でも、周囲に利用者の多い OS は有り難い。Mac OS や Linux が悪いという事は決してないが、OS に特別な拘りがなければ MS-Windows のチョイスが正解と言える。

完全無料の Linux(リナックス)
テレビや新聞で取り上げられる事も多いが

一言で「Linux(リナックス)」と言っても、実は様々な種類がある。ざっと挙げると、Turbo Linux、Fedora Core、Redhat、SUSE Linux、Ubuntu、KNOPPIX、Wine Linux、Plamo Linux 等々、数え上げればきりがない。

UNIX の兄弟分

Linux は、昔の大型コンピュータやワークステーションで使用していた「UNIX(ユニックス)」という OS を見本に、誰もが無料で使える事を目的に開発された。この Linux 上に Window 機能を被せたのが X-Window (sが付かない)になる。

開発経緯は異なるが、FreeBSD も UNIX 系の OS で、これを土台としたのが Mac OS-X である。これらパソコン上で動作する UNIX 系 OS を総称して「PC-UNIX」と呼ぶ場合が多い。

ちなみに Microsoft Windows との比較で、MS-Windows = Linux という表現には誤解がある。しいて言うなら「MS-DOS + MS-Windows」が「Linux + X-Window」に相当するのだが、話が面倒になるので、説明上では「Linux」と表記しておこう。

なぜ何種類もの Linux があるのか

利用者にとってもっとも魅力なのは、Linux が無償で提供されるのと同様に、Linux 上で動作するソフト類もほとんどが無償で配布されている事だろう。 MS-Windows や Mac OS-X 等で揃えたら、それこそ百万円以上かかるようなソフトでさえ無料で手に入れることが出来る。その数や種類も膨大である。

Linux を利用したいユーザーは、これらをインターネット上から個別にダウンロードしてインストールするのも可能だが、ファイルサイズも大きい上に、膨大なソフト資産から自分が必要とする物を見つけ出すのも一苦労。

その手間を省くために「ディストリビューションパッケージ」という物が有償販売または無償配布されている。各メーカーや、有志一同が、思い思いの組み合わせでこの「パッケージング」を行った結果、先に挙げたように十数種類にも及ぶ「Linux 系バージョン」が登場したわけだ。

Linux はスタンダードになったのか

至れり尽くせりな Linux。利用者数が増えているのは間違いない事実だろうが、MS-Windows のように実務で普及しているかと言われれば、答えは No となる。

Linux を利用する上で一番の問題は、導入しようとするパソコンに対応しているかという点だ。たとえば新発売のビデオカードを購入した場合、MS-Windows で使用するためのドライバソフトは標準で付いて来るが、Linux 用のドライバが付属することは珍しい。

Linux パッケージに組み込まれるのを待っていると、半年から 1 年かかる場合があるので、まずインターネット上で対応機器リストを見て、ご自分のパソコンの各パーツが対応しているか確認する必要がある。

また LANドライバや、ビデオドライバの再構築(ビルド)が必要になる場合も多い。更に Linux カーネルの再構築を行わなければならない場合もあり、こういう点も Linux 導入の敷居を高くしている一因となっている。

充実したフリーソフト群

前述の「膨大なフリーソフト」で主要な物は、多機種対応(マルチプラットホーム化)になっているので、これだけを持って Linux の優位は語れない。それでは、市販アプリケーション類の充実度はどうだろう。

Microsoft Office と互換が高い OpenOffice の登場以来、事務系の日常使用には不自由が無くなった。しかし販売管理や財務会計のような業務用ソフトはほとんど無い。私個人も頻繁に利用している Linux だが、取引先へ「クライアントパソコン」として薦めるには、業務用ソフトが少なすぎるし、開発環境が不十分なのだ。

サーバー用途は Linux の独壇場

クライアント PC としての Linux には前述の問題もあるが、サーバー用途であれば導入価値は極めて高い。現にインターネット上で動作するサーバー OS の多数は Linux で構成されている。

サーバーを構築するにはパソコン本体と OS 以外に、DNSサーバー、DHCPサーバー、Webサーバー、データベースサーバー、メッセージングサーバーなど数々のサーバー系ソフトが必要になる。MS-Windows Server でこれらを揃えるとなると20~200万円もの費用がかかるが、Linux であればそのほとんどが無料で入手できるというだけでも、その価値が理解できるだろう。

Linux の利用価値

Linux 系は「パソコンを弄り倒したい」くらいの猛者にお勧めしておこう。市販ソフトはほとんど無いと覚悟した上で、OS 自体のカスタマイズや、その過程を楽しむのが良い。 パソコン経験の浅い方が「ソフトには絶対お金をかけたくない」という理由で選択するのは大きな間違えである。そういう考えだけで始めると、かなり早い段階で躓く事になる。

パソコンの利用は「インターネットが見たい」とか「表計算ソフトで事務処理したい」というように、具体的な目的があるのが普通だが、実は「パソコン自体を楽しみたい」という方も意外に多い。

良い(悪い?)例が「パソコン自作ユーザー」のパターン。性能面にそれ程不満が無くても、新しいパーツが発売されるとつい購入してしまう。取り付け終わったからといって、その後の利用方法が変わるわけでもない。他人から見れば単なる無駄遣いとしか感じられないが、これは「自作」という過程を楽しんでいるのである。

私は小さい頃「ラジオ少年」だった。今で言う「電波少年」的な物ではなく、トランジスタ方式のラジオを組み立てる趣味の事である。ラジオに必要なケースから基盤・部品までが一セットになって販売されていて、これを半田付けしながら完成させる物である。 ゲルマニウム方式のラジオから始まり、1石トランジスタラジオ、2石・3石物と徐々に部品数の多いラジオを組み立てていくのだが、これも他人から見れば馬鹿らしい趣味に違いない。

ラジオなんてひとつあれば十分なので、実用面で見ればまったく意味がない。しかしこれも一部の「パソコン自作ユーザー」と同じように、ラジオが欲しいのではなくて、組み立てる行為そのものを楽しんでいるのだ。 「パソコンを自作する」「ラジオを作る」という行為は、「Linux を弄る」に似た嗜好ががある。これもパソコン遊びの一つだと言える。

MS-Windows パソコンにも Linux をインストールする事は出来るので、パソコン自体に慣れてから Linux を始めても良い。サーバー用途としてなら一番のお勧めである。

先進性や洗練度で評価の高い APPLE Mac
MS-Windows 系 PC との違いは?

パソコンを操作するマウスや、Window 方式のグラフィックユーザーインターフェイス (GUI) 等の多くは、米ゼロックス社で開発されたのだが、これをいち早くパソコンレベルで実現したのが APPLE 系 PC/OS である。

Lisa に始まり OS-9 までは APPLE 独自開発の OS で、OS-X からは、Linux の解説で説明したように FreeBSD がベースになっている。

Mac 嫌い?

どうも取引先の担当には、私が「Mac 嫌い」だと思われているらしい。 しかしこれはちょっと違う。私は Mac が嫌いなのではなく「Mac 絶対主義者」が嫌いなだけなのだ。

あまり良い例ではないが「Mac で作ったホームページは、やはり品があるよね」なんて言われる事がある。面倒なので、面と向かって反論しなかったが、それは単に制作者のセンスの違いであって、使うパソコンの違いではない。

この手の話を書き出すときりがないので止めておくが、Mac に限らず、人気商品や人気ブランドには必ず「熱狂的ファン」がいて、それに反対する「アンチ」がいる。実際にはどちらにも属さない「ごく普通のユーザー」が大多数なのだが、このような一部の熱狂的ファンの言動はいただけない。

APPLE PC との付き合い

実は、私自身 Mac と言うか APPLE 系 PC との付き合いは長い。 初代は APPLE II 。表計算ソフトの元祖「ViziCalc(ビジカルク)」で有名な機種だが、純正品ではない(いわゆるパチモン)ので偉そうなことは言えない。OS-9 搭載の Machintosh LC III で付き合いを終わるまでに 4 機種ほどを使用している。

私が独立したのも APPLE がらみになるのだろうか。APPLE 現 CEO スティーブ・ジョブスが、一時、APPLE を追い出されていた頃に NeXT CUBE というワークステーションを開発した。セット価格で 400 万円以上の高額な製品だったが、現在の Mac とほぼ同様の GUI と操作性を備えていたのだから、その先進性はたいした物である。(現在の OS-X はこれがベースになっている)

しかし NeXT で私が一番注目したのは「開発環境」だ。NEXTSTEP(NX-Window) という開発プラットホームは、Window 上に部品を配置して、その属性をセットするだけでプログラムの雛形ができあがる。現在の VisualBasic や Delphi に相当する開発環境が提供されていたのだ。 偶々この時期に「NeXT を核にした業務システムを作れないか」という相談があり、これがきっかけで独立。結果的には完成する前に、その会社は倒産し、自腹で購入した NeXT は高価なおもちゃになってしまった。 「その恨みで Mac 嫌いなんじゃないの」というツッコミは無しと言うことで。

Mac OS-X の問題は

話が大きく横道に逸れてしまったので、再び APPLE Mac。
もう、この時代に「Mac が優れている」だとか「Windows のほうが有利」だとかという論議は意味がない。操作性についてもほぼ同一で、その違いは微々たる物になっている。ハードウェア的に見ても、同じ価格帯の本体を比較すると、若干 Mac が高いながら、性能差もあまり無い。そこで、あえて Mac を選択した場合の忠告をすると

ソフト面では

一般的なユーザーが Mac を利用する上で問題があるとすれば、それは「動画の再生」かも知れない。インターネット上で見られる無料動画はほぼ問題ない。しかし、有料動画の場合、DRM という著作権保護のプロテクトがかけられている場合が多く、視聴できない事がある。OS-X 上から MS-Windows を起動させているユーザーが多い一要因でもある。 最新の OS-X は 64bit版に完全移行してしまったため、過去のソフトが動作しない点にも注意が必要だろう。

ハード面では

APPLE PC には互換機が存在しないため、そもそも OS-X だけを取り上げて比較する事自体の意味が薄い。製品を選ぶ際の幅も限られてしまうが、逆に、製品のクオリティが一定しているメリットもある。

ハードウェア的に見た場合、Mac は、メモリ増設やハードディスク交換などの「内部増設」は、メーカーで行うことが前提になっている。サードパーティー製の増設メモリも単価が高めだったり、旧 Mac mini のように、分解しづらい構造の物もあるので、後から自分で拡張しようと思わずに、購入時点で少し余裕を持ったスペックにする方がよい。

Mac OS-X の利用価値

上記のデメリットに加えて、業務用の市販ソフトが少ないなどの問題もあるが、前述の通り、基本的にはほとんど差がないので、Mac 系が欲しければ Mac にすれば良いだけの事。否定する根拠もない反面、積極的に勧める理由もないので、単純に「好み」とか「感性」の領域になる。

デザイン業務、主に製版業者などとのデータ受け渡しがある職種の場合は Mac 系をお勧めしておこう。印刷関連業者も時代の流れを反映して MS-Windows 版のデータ入稿が出来るように変わってきたが、まだまだ、Mac に依存している会社が多い。